■災害とLGBT(性的少数者)

この文章は災害時のLGBT(性的少数者)への対応として、医療機関や行政等にお願いしたいことをまとめたものです。

○はじめに LGBTとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー(性同一性障害者含む)の頭文字です。LGBTに限らず、多様な性のあり方があります。性のあり方は基本的な人権の一つであり、日常時でも災害時でも守られるべきものです。

【医療機関にて】

○病状説明や手術の同意などの現場で、同性パートナーより親族が優先される現実があります。同性パートナーがいることを親族が知らない場合もあります。医療関係者は、可能な限り、患者本人の意思をより尊重して下さい。

○同性パートナーであることを名乗り出た人がいる場合は、その人にも親族と同様の説明を行っていただきたいと思います。

○面会や、看護の際に、同性パートナーを排除しないでいただきたいと思います。



【避難所にて】

○避難所では、世帯ごと、男女別で取り扱われることが多いと思います。代表者の方は、どんな地域であっても、同性パートナーがいる人、男女別で扱われたくない人、HIVに感染している人がいることを前提として、当人の意志を最大限に尊重して運営していただきたいと思います。

○避難所では、LGBTに限らず、どんな暴力も差別も許さないことを、明言し、掲示しておいてください(性による差別、子ども、高齢者、障害者、外国籍住民、LGBT、HIV感染者等)。

○避難所では対応できない問題が発生した場合に、本人が相談できる相談窓口を掲示しておいてください。

(相談窓口のリスト)http://www.nhk.or.jp/heart-net/lgbt/advice/index.html

○男女で支給物品を分けるのではなく、必要な人が必要な支給物品を、プライバシーを守って受け取れるように配慮して下さい。(化粧品、生理用品、防犯グッズなど)

○トランスジェンダーでホルモンの投与を受けたい人、HIVに感染していて抗HIV薬が必要な人、精神疾患を抱えていて抗うつ薬が必要な人もいます。どのような薬が必要なのかを聞く場合、また、受け渡しの場合に、プライバシーが守られるよう、配慮して下さい。

○男女別のトイレだけではなく、大きくて非常ベルを備えた、誰でも安心して入れるトイレを設置して下さい。これはLGBTに限らず、女性や障害者、介助が必要な高齢者にも必要なものです。

○避難所ではプライバシーが守りにくいため、誰かがLGBT等であることを知る可能性があります。もしそれを知っても、当人の了解なしに他の人に話すことは「アウティング」という行為です。絶対に止めてください。



【日常の備え】

○同性パートナーや友人が不明者の照会をする場合、本名や住所を知らないと照会が難しいことがあります。信頼できる相手には、できるだけ連絡先や連絡方法を伝えておきましょう。

○自分が意識不明等の状態になった場合に備えて、「緊急連絡先カード」を携行しましょう。

//表面:私が事件や事故、その他のトラブルに遭遇し、家族への連絡が必要な場合には、裏面の人に連絡してください。また、この人の面会も望みます。サイン(自署)

//裏面:名前 XX、電話番号 XX(複数の連絡先でも可)


※「緊急連絡先カード」はQWRC(http://www.qwrc.org/)が作成、配布しています。

○医療機関等では親族が優先されがちです。同性パートナーがいる人は、親族に誰か味方を作っておくと心強いと思います。同性パートナーと言えない場合は、「無二の親友で、もしもの時にも側にいてほしい人」と伝えておいても良いでしょう。


以上(2011/03/16版)